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【白内障・眼内レンズ】トーリック眼内レンズ

白内障・眼内レンズ
トーリック眼内レンズ

市川 慶

白内障・眼内レンズ
トーリック眼内レンズ

眼科専門医市川 慶

総合青山病院 眼科センター 部長

トーリック眼内レンズとは

乱視とは?
遠視・正視・近視は一般の方にも耳なじみな単語かと思いますが、遠くの場所(視力基準では5m)にピントがしっかりと合う方は正視、5m以下の近くでピントが合う方は近視、はっきりとピントが合う場所が無い方(軽度の場合はほぼ正視と同じイメージで大丈夫です)は遠視といいます。実際には、下図のように正視は網膜に、近視は網膜よりも前に、遠視は後ろにピントがあっています。
眼の奥行きの長さを眼軸長といい、眼には一番表面にある透明なドームの角膜と眼内の水晶体の2つのレンズがあります。正視は眼のレンズの光を曲げる力と眼軸長のバランスがとれている状態です。その一方、近視や遠視では、このバランスが崩れているのを表しています。
乱視とは?乱視とは?

これらに対して、乱視とは眼の表面(角膜)と、眼の中にあるレンズ(水晶体)のどちらかが、ラグビーボールのような形状をしているために起こるものです。白内障手術で問題となるのは角膜の乱視ですので、下の図に乱視がない角膜と乱視がある角膜を示します。乱視の無い目では角膜は球面で、1カ所にピントが合っていますが、乱視のある目では光の入る方向によってピントの合う位置が変わってきます。

乱視のある場合の見え方

乱視が軽い場合はそれほど問題になりませんが、強い乱視があると、文字がダブって見える、はっきり焦点が合わないように感じる事があります。特に夜間、瞳が大きくなると角膜の広い範囲を光が通過するようになり、乱視の影響も強く出ます。夜間の運転で光がにじんで見えたり、看板がダブって見えたりするなどの夜間の見えづらさを強く感じる事も多いです。

トーリック眼内レンズとは

トーリック眼内レンズとは、白内障手術で用いる乱視を軽減するための眼内レンズです。海外では保険適用範囲外のものとして用いられている場合もありますが、日本では保険適用になっています。大きく分けて単焦点トーリック眼内レンズと多焦点トーリック眼内レンズに分けられます。術後の乱視が減ることで、患者さんは術後快適に感じると思います。特に乱視が強い方には、とても喜ばれることが多いです。

以前は白内障手術は水晶体の濁りのみを除去するという考え方でしたが、最近は、白内障手術で近視や乱視なども治療しようという考えが広まっており、学会で行われている調査をみてもトーリック眼内レンズを使用する眼科医は年々増えている現状があります。我々も、出来るだけ患者さんが術後、より快適に過ごせるように積極的にトーリック眼内レンズを使用しています。

トーリック眼内レンズは画像のようなデザインをしており、トーリックマークが付いている部分を角膜のレンズの屈折力が大きい部分、つまり光を曲げる力が大きい部分に合わせる事で、乱視を減らす事が出来る特殊な加工がされたレンズです。乱視矯正にとても有効な眼内レンズですが、乱視が非常に小さい方や逆にとても大きい方では限界があり、乱視を全くなしにする事は出来ません。

トーリック眼内レンズとは

トーリック眼内レンズを用いた
白内障手術を正確に行うためのシステム

トーリック眼内レンズ手術で最も重要なことは、レンズのトーリックマークを正確に患者さんの乱視の方向に合わせることです。以前はマーキングといって、手術の前に角膜にインクでしるしを付けてそこを目印にトーリック眼内レンズを固定するべき位置を決めていました。しかし、この方法は誤差が生じやすいことが分かっています。それを改善したのがイメージガイドシステムで、我々のグループの一部の施設でも使用しています。この器機を使うと手術中に乱視の位置を執刀医が使用している顕微鏡像に投影する事が可能になります。ちょうど術者には下の図の様な画像が見えていて、緑色で示されたのが眼内レンズを固定する位置です。

その他にも手術中に使用する器械として、リアルタイムの眼の状態を測定する器機(ORAシステム)を使うと、手術中に実際にトーリック眼内レンズを入れた時の度数を測定して最適な位置に固定が可能になっています。
これらの機器を上手く組み合わせる事で、なるべく正確に乱視が矯正出来るように手術を行っています。

どんな方にトーリック眼内レンズは向く?

乱視矯正用の眼内レンズですので、ある程度乱視がある方が対象になります。
トーリック眼内レンズを使用することで、眼鏡の使用頻度を減らすことが可能です。単焦点眼内レンズで遠くに焦点を合わせた場合は、乱視も矯正することで遠くは眼鏡をあまり使わず見やすくなります。また、近くにピントを合わせた場合は乱視を矯正することで近くが眼鏡無しで見やすくなります。多焦点トーリック眼内レンズは遠くと近く両方にピントが合うので、遠くと近く、最近よく使われる3焦点の場合は遠く、中間、近くが見やすくなります。白内障手術の際、乱視のある方は主治医に相談してみて下さい。
また、もっと様々な眼内レンズについて知りたい方は当ページの眼内レンズについてのページも参考になさってください。

トーリック眼内レンズ手術後の合併症について

トーリック眼内レンズは、手術の際の位置決めが非常に重要です。一般的に10度レンズがずれると乱視矯正の効果は30%低下します。手術の終了時にトーリック眼内レンズが適正な位置に固定されていても、術後にトーリック眼内レンズが回転することがあります。回転する場合は術後1週間以内に回転してしまうことがほとんどで、特に近視が強い方は眼内レンズを入れる袋が大きいために回転しやすいことが分かっています。その場合には見辛さの原因となるため、レンズ位置の再調整のための手術が必要となります。

中京グループの医療機関

白内障手術時にトーリック眼内レンズを使用できる治療施設

イメージガイドシステム導入施設

術中の眼内レンズ度数計算装置 
ORAシステム導入施設

眼科専門医 市川 慶
眼科専門医
市川 慶
白内障手術の際にトーリック眼内レンズを使う事で乱視を軽減する事が出来ます。全ての方が対象となる訳ではありませんので、乱視が心配な方は白内障手術の前に主治医に相談してみてください。

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