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目の病気の解説

【緑内障】SLT緑内障レーザー治療

緑内障
SLT緑内障レーザー治療

志賀 優

緑内障
SLT緑内障レーザー治療

眼科医志賀 優

日本赤十字社 岐阜赤十字病院 眼科

緑内障と眼圧

緑内障とは、目から入ってきた情報を脳へ伝達する視神経という部位が傷害され、視野が狭くなってしまう病気です。現在の医学では緑内障で失われた視野を回復させることが出来ず、緑内障の治療とは進行を抑制するということになります。
緑内障の進行には眼圧(目の中の圧力)が深く関わっており、眼圧が高いと視野障害は進行します。つまり、緑内障の治療とは眼圧を下げることです。
眼圧に大きな影響を与えているのが、目の中で作られている水で、房水と言います。房水は毛様体という場所で作られ、目の中を循環し目の組織に栄養を補給します。役割を終えた房水は、線維柱帯という出口から目の外に出ていく事で眼圧を維持しています。この房水の出口に異常があると、房水の循環が悪くなり眼圧が上昇します。
目をボールに例えると、眼圧とはボールに空気を入れた時の硬さになります。出口が詰まっている状態で空気を入れ続けるとボールはどんどん硬くなっていきます。 SLTレーザー治療とは、線維柱帯という房水の出口の流れを良くすることで眼圧を下げる治療です。

SLTとは

SLT(Selective Laser Trabeculoplasty)とは半波長Nd:YAGレーザーいう特殊なレーザーを線維柱帯に照射し、房水の流れを良くすることで眼圧を下げる治療です。
線維柱帯は房水の出口と説明しましたが、正確にはスポンジのようにメッシュ状の立体構造をしています。メッシュの隙間にゴミが詰まっていると水が通過しにくいように、線維柱帯も沈着物質によって隙間が狭くなっていると房水の流れが悪く眼圧も高くなります。
SLTは線維柱帯の色素細胞色のみを選択的に照射します。色素細胞がレーザーにより破壊されると、免疫反応が刺激されマクロファージという体の中のお掃除屋さんが活性化します。マクロファージは線維柱帯で房水の流出の抵抗となっている沈着物質を取り込んで分解します。隙間が広くなった線維柱帯は房水の流れが良くなり、眼圧が下降します。
SLTは日帰りで行うレーザー治療(手術)に属します。健康保険の適応で3割負担の方はおよそ30000円の負担となります。手術給付金付きの生命保険では、給付金支給の対象になることもあります。興味のある方は医師や看護師にお気軽にお尋ねになってください。

SLTの適応と効果

SLTは比較的初期の緑内障が適応となります。具体的には眼圧上昇が中等度(25mmHg程度)までで視野障害も初期から中期、点眼は未使用か1〜2本の方です。
眼圧下降効果は点眼1本分程度で、照射後3年で眼圧下降が維持できるのは約40%と報告されています。眼圧下降効果が薄れた場合は再びレーザー治療を行うことが可能です。

緑内障治療における位置づけ

従来は緑内障と診断された方はまず眼圧下降作用のある点眼治療から開始することが主流でした。しかし、近年点眼を開始する前にSLT治療をした方が視野の進行が遅いという報告もありました。点眼をせず眼圧下降が維持出来れば、点眼の煩わしさや医療費が軽減できるというメリットがあります。
SLTによって眼圧が十分に下降しない場合は、点眼の追加または手術加療が必要になることがあります。
一部無効症例があり、炎症による一過性の眼圧上昇等のリスクもある治療ですので、治療を希望される際は十分な説明をさせていただきます。

実際の治療について

  1. 1. 治療開始前に点眼麻酔を行います。
  2. 2. レンズを当てた後、レーザーを照射します。
  3. 3. 照射は通常60~120発程で、5~10分程で終了します。
  4. 4. 30分ほどお休みいただき、眼圧を測定して終了です。
実際の治療について実際の治療について

中京グループの医療機関

SLTレーザー治療が受けられる医療機関

志賀 優
眼科医
志賀 優
SLTは点眼をしなくて良くなるという可能性がある点で初期の緑内障に対してメリットの大きい治療です。緑内障のタイプによっては適応とならない事もありますので、興味のある方は主治医にご相談ください。

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