専門医による
目の病気の解説
屈折矯正
屈折矯正
眼科専門医小島 隆司
慶應義塾大学医学部
眼科学教室 特任准教授
岐阜赤十字病院 眼科
非常勤医師(角膜外来担当)
リレックススマイルはSmall Incision lenticule extractionの略で新しい世代の角膜で行う屈折矯正手術です。略してスマイルと呼ばれる事も多いです。角膜の屈折矯正手術の中では、レーシックより以前から行われていて、世界では最も行われている屈折矯正手術です。リレックススマイルは現在のところ、近視と乱視が矯正可能です。日本ではまだ普及段階ですが、世界に目を向けるとリレックススマイル手術はレーシックの欠点を改善した一歩進んだ手術として、かなり普及してきています。
リレックススマイル手術では、フェムトセカンドレーザーを角膜にドッキングさせ、角膜内にレンチクル(切片)というものを作成します。その後、角膜の中に出来たレンチクルを剥がして、小さい傷口から抜き取ります。レンチクルがなくなった場所は自然になじんで閉じてきます。
角膜というのは、皆さんも目にゴミが入って大変痛く感じたことがあると思いますが、人間の体の中でもとても敏感な場所です。角膜は下の図に示すように、周辺部分から中に向かって神経が伸びてきます。レーシックなどのレーザー角膜矯正手術では、術後に一過性にドライアイが起こることが知られています。これは、手術によって角膜の知覚神経が切断され、それによって目の表面が鈍くなって、涙の分泌力が落ちてしまうからです。リレックススマイルも角膜で行う手術ですが、レーシックと比較すると、リレックススマイルでは角膜を切開する長さがレーシックの10%程度ですので、術後のドライアイが軽度であることが多くの研究で示されています。
もう一つのメリットは、打撲などの外傷に強いことです。レーシックは角膜にフラップと呼ばれる蓋を作る手術ですが、このフラップは術後何年も経過しても接着が弱く強い外傷でフラップがずれる可能性があることが分かっています。このため、格闘技をされる方では、レーシックは向きません。その一方リレックススマイルは2mm程度しか角膜の表面を切開しませんし、フラップも作らないので外傷に強いことになります。
リレックススマイル手術もデメリットがあります。まずレーシックに比較して手術に熟練を要しますので、どんな術者でも行えるというものではありません。角膜手術に精通した技術が必要になります。次に術後の視力の回復に1週間程度かかることです。このため手術翌日は少しぼやけて見える感覚がありますが、徐々に回復していきます。最終的な視力はレーシックと同等であることが分かっています。
ICLとリレックススマイルの大きな違いは、手術を行う場所です。リレックススマイルは角膜で行う手術ですが、ICLは眼内にレンズを入れる手術です。このためそれぞれの手術でリスクとなる状態が異なります。リレックススマイルでは一過性の軽度ドライアイが多くの方に起きますが、ICLではそれはほとんどありません。
一方ICLは眼内手術ですので、稀に白内障を併発することがあります。近視や乱視の度数が強い場合でも矯正出来るのがICLの強みで、何かあったときにICLを抜けば元の状態に戻るのもICLです。
リレックススマイル | ICL |
---|---|
・角膜手術なので眼内への影響が無い
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・稀に白内障、眼内炎症を併発 |
・一過性に軽度ドライアイを起こす
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・ドライアイの併発はほとんどない |
・矯正できる範囲に限界
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・強度の近視、乱視でも矯正可能 |
・手術したら元に戻すことは不可能
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・ICLを抜去すれば元に戻すことも可能 |
スマイル | ・角膜手術なので眼内への影響が無い |
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・一過性に軽度ドライアイを起こす | |
・矯正できる範囲に限界 | |
・手術したら元に戻すことは不可能 |
ICL | ・稀に白内障、眼内炎症を併発 |
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・ドライアイの併発はほとんどない | |
・強度の近視、乱視でも矯正可能 | |
・ICLを抜去すれば元に戻すことも可能 |
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