中京グループ眼科専門医による
目に関するポータルサイト

専門医による
目の病気の解説

【ロービジョン】ロービジョンとは

ロービジョンロービジョンとは

仙田 翠

ロービジョン
ロービジョンとは

眼科専門医仙田 翠

JCHO中京病院 眼科

ロービジョンとは

ロービジョンとは教育や福祉の分野では「弱視」と呼ばれることもありますが、実ははっきりとした定義はありません。視力や視野に問題が無くても眼瞼痙攣という病気で光がまぶしくて見えにくい状態や、色覚障害で色の違いがよく分からないなど、視覚によって日常生活が不自由なものをロービジョンと言います。

一般的にロービジョンを説明するにあたり一番イメージしやすいのは、視覚障害者かと思います。視覚障害者とは眼鏡を装用しても日常生活に支障が出て困難を生ずる人のことを言い、「身体障害者手帳」を取得している人のことです(資料1)

平成28年度の厚生省の調べによると全国に31.2万人もいます。年代別割合をみると、70歳代以上が56.1%、60代が20.8%、50代が9.3%と50代以上で86.2%も占めています(※1)(資料2)

また視覚障害となる原因は、緑内障が28.6%、網膜色素変性症が14.0%、糖尿病網膜症が12.8%です(※2)(資料3)。

この数値から分かるように、高齢化社会である日本 において視覚障害者は決して少ないわけではなく、また視覚障害となりうる病気も決して珍しいものではありません。身近に視覚障害で苦しんでいる方がいるといっても過言ではありません。

ロービジョンケアとは

ロービジョンケアとは、簡単に言うとロービジョンとなった患者さんへの視覚リハビリテーションです。目の病気になっても治療で治らない場合はどうしたらよいでしょうか。そのままでは見えにくいため生活するのにとても不便です。その不便を少しでも解消するためにロービジョンケアがあります。
また、ロービジョンケアは決して治療を諦めてから始めるものではありません。治療中であっても、今の見え方と付き合い生きていかなければいけません。残った視覚を最大限に生かし、生活をより明るくする手助けが出来ればと考えています。

具体的にロービジョンケアとはどんなことを行うところか説明します。
例えば、まぶしさを訴える患者さんには「遮光眼鏡」をお勧めしています(資料4)。また文字を読むことが困難であれば「拡大鏡」のご紹介をしています(資料5)。

  • ロービジョンケアとは
    クリックで拡大

    馴染みのあるルーペも様々な倍率で試すことができます。

  • ロービジョンケアとは
    クリックで拡大

    持ち運びのしやすい電子ルーペです。
    低倍率から高倍率まで変えられます。また白黒反転しまぶしさを抑えることもできます。

  • ロービジョンケアとは
    クリックで拡大

    据え置き型の拡大読書器です。
    モニター下にあるテーブルに本や新聞を乗せて操作することで、読み進めることができます。また爪切りや裁縫などの作業が拡大して行うことができます。

資料5

一人で歩くことが怖ければ「白杖」(資料6)や「同行援護」といったガイドヘルパーを紹介したりします。患者さんの用途やニーズに応じてご紹介します。
他にも生活や仕事の相談を受けています。患者さんのご要望に応じた福祉施設へのご紹介なども行っています(資料7)。

ロービジョン外来の受診方法

眼科を通院中の患者さんは主治医にご相談ください。その際、身体障害者手帳が取得可能かどうかも合わせてご相談ください。
また、外来を受診される際は身体障害者手帳と現在使用されている眼鏡、他にもサングラスや遮光眼鏡、拡大鏡、タブレット型端末など普段使用しているものがあればご持参ください。

ロービジョンケアにかかる費用と時間

ロービジョン外来では認定を受けた医師がケアを行っていることもあり、多少の費用がかかります。そのためにも、まず認定基準に当てはまる患者さんには障害者手帳を勧めています。そうすることで医療費の免除が受けられたり、遮光眼鏡や拡大読書器などが支給されたりします。
初回はまず初めに、患者さんの生活環境や仕事、趣味などを詳しく問診します(資料8)。そこで患者さんが何に一番困っているのか、必要としているものを聞き出します。その後、ニーズに見合ったものや情報をご紹介します。そのため、初回の所要時間は約90分程度となります。1回で終わる方もいれば、いくつかご希望がある患者さんは複数回受診していただくこともあります。

障害年金について(資料9)

障害年金とは病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、現役世代の方も含めて受け取ることのできる年金です。障害年金は日本年金機構が管轄のため、身体障害者手帳を取得しても受け取れるわけではありません。そのため患者さんご自身で申請しなければいけません。
病気やケガで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」、共済年金に加入していた場合は「障害共済年金」が請求できます。
なお、障害厚生年金に該当するよりも軽い障害が残ったときは、障害手当金を受け取ることもできます。
障害年金は初診日に保険料を納付しているかもしくは免除されていること、また初診日が65歳未満でないといけないなどの保険料納付要件や身体障害者手帳の認定基準とは異なる基準があります。特に認定基準は医師が判断しますので、ご相談の際は主治医やロービジョン外来を受診ください。

その他の福祉制度においても、未成年の障害児を養育する親に対して支払われる手当や、子育てをしている親自身に障害がある人にも支払われる手当などもあります。

障害年金について
資料9
クリックで拡大

眼科専門医 仙田 翠
眼科専門医
仙田 翠
治療をしても見えづらい状態が残った場合、患者様はその状態でも生活していかなければいけません。そんな見えづらい状況も少しの工夫で見やすくなるよう、患者様の人生が明るくなるような手助けができればと思っています。患者様のみならず、ご家族の方も気軽にご相談ください。

背景色

ページトップへ