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【白内障・眼内レンズ】レーザー白内障手術とは

白内障・眼内レンズ
レーザー白内障手術とは

三田村 麻里

白内障・眼内レンズ
レーザー白内障手術とは

眼科専門医三田村 麻里

中京眼科

白内障とは

白内障は、水晶体の濁りによって見えづらくなったり、眩しくなったりする病気です。原因は加齢によるものが最も多いですが、生まれつきのもの、目の怪我、アトピー性、薬の副作用、放射線など様々な原因があります。

白内障の治療

白内障による視力低下、眩しさなど見え方の質の低下を改善するには、現在のところ手術しか方法がありません。
白内障手術は手術方法の改善と手術機器の進歩により、疼痛も少なく短時間手術が可能で、術後も早期から視力回復できるようになっています。手術自体を問題なく終了するのはもちろん、ライフスタイルに合わせて使用する眼内レンズの種類や度数を正確に選択することも、術後より良いものの見え方を得るために重要となり、より手術を正確に行うツールとしてレーザー白内障手術が注目されています。

レーザー白内障手術の特徴

白内障手術は混濁した水晶体の摘出を行い、眼内レンズを挿入する手術です。
水晶体の摘出は、①角膜を2-3mm切開、②白内障を覆っている袋(水晶体嚢)の前面を円形に切開、③超音波器具を使用して水晶体を破砕・吸引除去します。

レーザー白内障手術の特徴 レーザー白内障手術の特徴

レーザー白内障手術とは、①角膜切開 ②水晶体嚢切開 ③水晶体破砕のみ に対し、レーザーを用いて手術を行うものです。また④角膜に追加切開を加えて、乱視を軽減することができます。その後白内障の吸引除去と眼内レンズ挿入は通常の白内障手術方法と同様に行います。

通常の白内障手術の流れ 通常の白内障手術の流れ

レーザー白内障に用いるレーザーは、フェムト秒(10-15秒)という目に見えない速さでレーザーを照射し組織を切断するもので、事前の計画通り正確な切開を行うことが可能です。

レーザー白内障の利点は大きく分けて3点あります。1つ目は、事前に水晶体を破砕しておくことで、超音波使用量を軽減することができることです。術後炎症の軽減効果が期待でき、また水晶体嚢損傷などの術中合併症リスクも軽減できると考えられます。一般的に難易度の高い(合併症リスクの高い)白内障や、術後の炎症を最小限に抑えたい症例がよい適応になります。具体的には進行した白内障、白内障を支える組織(チン小帯)が弱い方(目の怪我後、アトピーなど)、ぶどう膜炎や角膜の病気がある方、瞳孔が開きにくい方、多焦点眼内レンズを使用する方などです。

2つ目の利点は、正確な水晶体嚢の切開です。眼内レンズ位置の安定は選択した眼内レンズの効果を最大限活用するために必要ですが、そのためには水晶体嚢切開を適度な大きさ、位置に設定する必要があります。レーザーによる水晶体嚢切開は正確で、理想通りの形状の切開が可能です。

3つ目は乱視矯正です。通常乱視の矯正には乱視用の眼内レンズを使用します。眼内レンズで矯正しにくい軽度の乱視の場合、乱視の軸に合わせた角膜切開(強手経線切開)を行ったり、角膜弧状切開を加えて乱視を軽減します。レーザー白内障手術では、術前に計測した画像と術中の画像をリンクさせて正確な位置での切開が可能です。追加する弧状切開は、レーザーを用いることで角膜の内側のみを切開する方法(ISAK Intrastromal Arcuate Keratotomy)が可能で、術後早期回復に役立ちます。

  • レーザー白内障手術 レーザー白内障手術
    レーザー白内障手術機器と手術の様子
  • レーザー白内障手術 レーザー白内障手術

レーザー白内障手術が向く方

進行した白内障(成熟白内障)
顕微鏡下でも水晶体嚢がはっきり見えず、正確な水晶体嚢切開が難しくなります。また白内障自体がとても固くなっており使用する超音波量が増え、水晶体嚢の損傷リスクが高くなったり、術後炎症が強くなり、角膜内皮細胞の減少をきたすことがあります。
チン小帯が弱い場合(目の怪我後、アトピー性など)
水晶体を眼球に固定している細い線維のような組織をチン小帯と呼びます。手術操作によりチン小帯が断裂すると、白内障の奥にある硝子体という組織が出てきたり、白内障の破片が目の奥に落下したりすることで追加手術が必要になったり、眼内レンズの固定方法を大きく変更する必要がでてきたりします。レーザーを用いることで、手術操作を最低限にし、チン小帯への負担を軽減します。
ぶどう膜炎後、角膜疾患
使用する超音波量を減らすことで術後の炎症軽減、角膜内皮細胞への影響を軽減します。強い角膜混濁の場合はレーザー適応外ですが、軽度の場合は正確な水晶体嚢切開と白内障分割によって水晶体嚢損傷リスクを軽減できる可能性があります。
瞳孔の開きにくい方
瞳孔が小さいと手術する視野が取れず、水晶体嚢損傷などの合併症リスクが高くなります。瞳孔が全く開かない方は適応にならないこともありますが、中等度の散瞳である場合は手術効率上がり、良い適応になることがあります。
正確性が要求される白内障手術(多焦点眼内レンズ、乱視矯正をする症例)
多焦点眼内レンズや乱視用眼内レンズを使用するには、水晶体嚢の損傷がないことが大前提になります。また、目の中に入れる眼内レンズ度数の予測精度を向上させるためには、眼内レンズ位置がいつも安定していることが大切です。眼内レンズの安定には、術中の水晶体嚢の切開に亀裂がなく眼内レンズを覆う適度な大きさであること、チン小帯の強度が保たれていることも必要です。レーザーによる水晶体嚢切開は予測通りに作成可能で、事前の水晶体破砕により術中のチン小帯への負担を最低限に抑えます。乱視矯正のための、角膜切開の位置の調整や追加切開についてもレーザーは有用です。

レーザー白内障手術の費用

レーザー白内障手術は、現在のところ保険適応でなく費用は施設により異なります。また、まだ国内での導入施設も限られているため、希望される方は主治医の先生に一度ご相談されることをお勧めします。

中京グループの医療機関

レーザー白内障手術が受けられる医療機関

眼科専門医 三田村 麻里
眼科専門医
三田村 麻里
一言で白内障といっても様々なタイプがあります。白内障手術はどこでも受けられる治療ですが、ただ治すだけでなく、患者さん一人ひとりに合った方法を選ぶことが大切です。
レーザー白内障手術をご希望の場合は、主治医や白内障専門医にご相談ください。

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