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【角膜・眼表面】円錐角膜治療

角膜・眼表面
円錐角膜治療

小島 隆司小島 隆司

角膜・眼表面
円錐角膜治療

眼科専門医小島 隆司

慶應義塾大学医学部 
眼科学教室 特任准教授
岐阜赤十字病院 眼科 
非常勤医師(角膜外来担当)

円錐角膜とは

眼球に光が入る際に最初に通過する場所が角膜で、眼球をカメラに例えると、レンズの働きをしています。円錐角膜はその角膜が弱いために、図のように眼内の圧力に負けて徐々に前の方に突出してきてしまう病気です。また突出するとともに薄くなってきます。レンズが歪むので見ることにいろいろ支障が出てきます。

正常角膜 円錐角膜によって突出した角膜

円錐角膜が発症する割合は、以前から1000人に1人程度と言われていましたが、最近は検査技術の発達により報告によっては300人に1人とも言われており、稀な病気では無い事が分かっています。年齢としては10〜20歳代で発症することが多い病気です。実際に外来に来られる患者さんを見てみると、最初は視力が下がって眼鏡屋さんへ行き、乱視が非常に強く眼鏡で矯正出来ないということで眼科に紹介され診断されることが多いように思います。

円錐角膜は若い方に発症し、若いほど進行しやすい病気です。進行とともに裸眼、矯正視力が低下していき、次第に眼鏡では矯正出来なくなっていき、一生の視機能に影響を及ぼす病気です。このため、適切な進行予防と視力矯正が必要になります。また、アトピー性皮膚炎やアレルギー性結膜炎があり、目を擦る癖のある患者さんでは、病気が進行しやすくなります。
円錐角膜治療の流れを図に示します。

円錐角膜治療の流れ

進行予防治療 角膜クロスリンキング

進行予防治療 角膜クロスリンキング
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2003年にドイツ人のザイラー医師によって初めて報告された方法です。角膜はコラーゲンの線維の束が寄り集まって出来ており、その強度を高める治療です。視力は若干改善する場合もありますが、基本的に進行予防の治療であるため、著しい改善は期待できません。このため、進行期にあたる患者さんが主な対象になり、治療によって重症化するのを防ぐことが主目的となります。海外では既に15年以上行われており、この治療の効果により円錐角膜で角膜移植が必要になる件数が半減したと報告されるなど、円錐角膜治療そのものを大きく変えるインパクトをもっています。

進行予防治療 角膜クロスリンキング

治療における課題としては、欧米では標準的な円錐角膜の治療となっていますが、日本ではまだ厚労省未認可の治療であるため自費診療であることです。
中京グループでは、2011年より角膜クロスリンキング治療を開始し、これまでにグループ全体で500眼以上の治療実績があります。

円錐角膜と診断され、いきなり手術と聞くと心配と言われる患者さんもありますが、角膜クロスリンキングはどちらかというと手術というより点眼をして、そこに紫外線を当てるという単純な処置のような治療で、非常に安全で確実な治療法です。

進行予防治療 角膜クロスリンキング進行予防治療 角膜クロスリンキング

コンタクトレンズによる視力矯正

前に書きましたように円錐角膜では、進行とともに眼鏡で視力が十分にでなくなってきます。このような場合はハードコンタクトレンズでの視力矯正が必要になってきます。若いうちからハードコンタクトレンズに慣れて、使えるようになっておくことは、今後の為にも重要と考えており、装用指導も含めて重点的に行っています。使用しているレンズは軽症の方から重症の方まで対応出来るように数種類の円錐角膜用レンズを扱っています。
またどうしてもハードレンズに馴染めない方は、ソフトコンタクトレンズを乗せた上にハードコンタクトレンズを乗せるピギーバックという方法も行っています。これを行うと異物感がかなり軽減することが多いです。それでもうまくいかない方には、強膜レンズ(ボストンレンズ、ミニスクレラルレンズ)や不正乱視矯正用のソフトコンタクトレンズ(ユーソフト、日本で認可されたコンタクトレンズ)を処方することもあります。
従来まではハードコンタクトレンズが合わないイコール移植しか無いという状況を打破するため、さまざまな方法を提案したいと考えています。

ICLによる視力矯正

眼鏡で十分視力が出て、裸眼で過ごしたい希望がある患者さんには、ICLで矯正も可能です。ICLは眼内に挿入して近視や乱視を矯正する手術です。眼鏡で視力が出る患者さんですので、軽度の円錐角膜の方が対象となります。左右で近視の度数が大きく異なり、なかなか眼鏡が使用出来ない方には特に向く治療法です。ただし円錐角膜の歪み(不正乱視)を矯正するものではないため、あくまで眼鏡に近い見え方になります。

角膜内リング

角膜内リングは角膜内に透明なリングを手術で入れることで、角膜の形状を改善させ、角膜の歪みを矯正する方法です。どのような方が適応になるかというと、ハードコンタクトレンズが装用出来ず、少しでも裸眼視力を改善させたい場合があります。ただし角膜リングでの矯正効果はハードコンタクトレンズよりは劣るので、重症度が高い方はこの目的には不向きです。
また、もう一つの目的としては、ハードコンタクトレンズのフィッティング改善です。どうしても円錐角膜の場合、角膜がとがっているために角膜の同じ場所がコンタクトレンズで擦れて傷が出来て痛くなったり、角膜が白くなったりして見づらくなることがあります。角膜内リング手術で角膜の突出を和らげてあげ、コンタクトレンズをのせやすくするのももう一つの目的です。
中京グループでは現在、フェムトセカンドレーザーを使用して角膜内リング手術を行っています。フェムトセカンドレーザーを使用することで安全に角膜内の正確な位置にリングが挿入可能となります。手術はおよそ15分です。

角膜内リング
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角膜内リング

角膜移植治療

円錐角膜の最終治療と考えられている角膜移植ですが、基本的にハードコンタクトレンズを使用しても視力が0.7に到達しない場合に適応と考えています。最近は強膜レンズや円錐角膜用のソフトコンタクトレンズのお陰で少なくなりましたが、ハードコンタクトレンズがどうしても使用出来ない場合も角膜移植を行う場合もあります。
円錐角膜の場合は基本的に一生移植した角膜が使えるように深層角膜移植という方法を行っています。時々、移植をしたら円錐角膜が完全に治ると思われている患者さんがいらっしゃいますが、角膜移植で交換できるのは角膜の中心部だけです。このため、移植後も完全に正常に戻るのでは無く正常の7〜8割程度に回復しますと、患者さんには説明させていただいています。
また、稀に角膜移植術後に円錐角膜が再発することがあります。移植したのに再発?と思われるかもしれませんが、先に述べましたように実際に角膜移植で取り替えるのは角膜中心部分だけで、角膜全体の直径の3分の2程度です。このため、角膜の周辺部には、患者さんの角膜が残ります。再発はこの部分が原因で起こってきます。再発しやすいのは、若くして移植した患者さんや、アレルギーなどで眼の炎症が続いている方、眼を擦っている患者さんです。最近は再発した角膜に進行予防のために角膜クロスリンキングを行うこともあります。

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円錐角膜治療に関するインタビュー動画を
ご視聴いただけます。

専門医に聞く 円錐角膜治療

円錐角膜とはどのような病気ですか?

小島
円錐角膜とは名前にある通り、角膜に起こる病気です。
目の中には水が入っていますが、その水の圧力で目はボールのように膨らんでいます。角膜と言うのは、目の表面のことですが、その角膜が弱くなると、水の圧力に耐えられなくなり、少しずつ変形して前の方に押されて飛び出してきてしまうのです。それが円錐角膜という病気です。角膜が飛び出してしまうと、様々な不具合が出てきます。

初期の自覚症状は?

小島
角膜はレンズの働きをしていますので、角膜が変形してしまうと、物がはっきりと目の奥に映らなくなります。物が重なって映る場合もあり、症状としては視力が低下します。それが円錐角膜の自覚症状です。
また、初期の症状では、物が重なって見えるというより、少し乱視が強くなるような事が多いので、視力が落ちて新しいメガネを購入しようとメガネショップに行った場合、乱視が強くなっていると言われる事もあるでしょう。

乱視が強くなった場合、眼科を受診される方が多いのですか?

小島
眼科に来る患者さんは、物が見えにくくなり、メガネショップに行ってメガネの度数を合わせても視力が出ない、乱視が強すぎて様子がおかしい、という状況になり、眼科を受診される方が多いですね。

円錐角膜を発症する原因はなんですか?

小島
円錐角膜については様々な研究がされていますが、なぜ円錐角膜になってしまうのか、という原因ははっきりとは解っていません。しかし、最近の研究では様々な事が解りつつあります。
円錐角膜を発症された方の角膜は、コラーゲンが元々弱く、アレルギーが関係していると言われています。特にアトピーの方は、円錐角膜を発症する可能性が高いのですが、ほかに角膜の炎症なども円錐角膜の発症に関係するのではないか、という報告もあります。
また、目を擦るなどの生活習慣は、円錐角膜の悪化につながりますので注意が必要です。

円錐角膜になる割合や、円錐角膜を発症する可能性の高い年代は?

小島
円錐角膜は、約1,000人に1人の割合で発症すると言われていましたが、最近では診断技術が発達し、約300人に1人の割合で発症するという報告があり、円錐角膜という病気は珍しい病気ではなくなってきています。
年代に関しては、若い方が多く発症する病気です。10代から20代の間で発症する確率が高いですね。
円錐角膜とはどのような病気ですか?円錐角膜とはどのような病気ですか?

円錐角膜の治療法は?

小島
円錐角膜の治療には、進行を予防する治療と、視力を矯正する治療があります。

進行を予防する治療とは?

小島
角膜が弱くなっているのが円錐角膜ですので、角膜を強くして、角膜を変形しないようにします。角膜クロスリンキングという手術を行いますが、大きく目を切開するという手術ではなく、角膜を硬くする反応を起こして、進行を予防します。

視力を矯正する治療とは?

小島
視力を矯正する治療は様々あります。基本的には手術ではない方法と、手術をする方法に分けられます。
円錐角膜の場合、角膜が変形してしまうと、メガネで視力が出づらくなってきます。そうなった場合、円錐角膜用のハードコンタクトレンズで視力を出す事が多いです。
ハードコンタクトレンズは異物感があって使えないと言う方は、強膜レンズや分厚いタイプのソフトコンタクトレンズを使って、角膜の変形をある程度矯正できます。

円錐角膜の視力矯正の手術治療としては、角膜内リングという透明なリングを角膜の中に入れて、円錐角膜による角膜の変形を矯正するという治療になります。
また、重症化してしまうと、角膜移植という選択肢も出てきます。
円錐角膜の治療法は?円錐角膜の治療法は?

円錐角膜用のコンタクトレンズは、どのように選んだらいいですか?

小島
円錐角膜のコンタクトレンズは様々ありますが、第一選択となるのは、通常のハードコンタクトレンズになります。軽度の円錐角膜は、通常のハードコンタクトレンズで効果が出る場合が多いのです。
円錐角膜がある程度進行すると、円錐角膜用のハードコンタクトレンズが患者さんに合うと思います。その中の約1割の方が、ハードコンタクトレンズを使うとゴロゴロして使えないとか、その中の約1割(自院データ)で、ハードコンタクトレンズの異物感などから装用の中止を余儀なくされる方もいます。そういう場合は、通常のハードコンタクトレンズよりもサイズが大きい強膜レンズで矯正します。強膜レンズは、通常のハードコンタクトレンズのように黒目に触りませんので、非常に快適に装用できます。 また、最近では、日本国内で認可された、不正乱視を矯正できるソフトコンタクトレンズも選択できます。

ハードコンタクトレンズで進行を止める事はできますか?

小島
ハードコンタクトレンズは以前から、円錐角膜の視力矯正に用いられていますが、ハードコンタクトレンズで進行を止められるというエビデンスは今のところありません。
そのため、円錐角膜の進行予防で最も有効なのは、角膜クロスリンキングという手術になります。

円錐角膜の症状が出ていても、治療をせず放置してしまうと、失明に至るケースはありますか?

小島
円錐角膜で失明に至るケースはありません。 ただし、重症化すると、ハードコンタクトレンズが常に必要になり、さらに悪化すると、ハードコンタクトを使っても、視力が出づらくなる状態になる事があります。
我々眼科医は、そのような重症化を食い止めたいと思っており、その為には早期発見、早期治療が重要になります。

円錐角膜の患者さんで、レーシックのようなレーザー手術を受ける事はできますか?

小島
円錐角膜の患者さんは、角膜のレーザー治療は厳禁です。 円錐角膜は、角膜そのものが弱っていますので、レーシックのようなレーザー手術をすると、角膜が薄くなり、さらに角膜が弱くなってしまいます。
円錐角膜の方でレーシックなどのレーザー手術を検討されているのであれば、残念ですが手術は受けられないという事になります。

角膜クロスリンキングと、角膜内リングの違いは?

小島
角膜クロスリンキングと角膜内リング、名前が似ているので、混同される患者さんも多いと思います。しかし、手術名は似ていても目的は違います。
角膜クロスリンキングは進行予防の治療で、円錐角膜が現状より悪くならないようにする治療です。
角膜内リングは、角膜の中に透明なリングを入れて、角膜の形そのものを、不整な状態、尖ってる状態から少し平らして、角膜の形そのものを変化させて改善する治療です。
角膜内リングは、ある程度視力が改善する効果がありますが、その一方で、進行を予防する効果はありません。
円錐角膜の治療法は?円錐角膜の治療法は?

角膜クロスリンキングの価格がクリニックによって異なるのはなぜですか?

小島
角膜クロスリンキングは、基本的には自費診療です。
各クリニックがそれぞれ価格を決めているのですが、大きく価格が異なる事はないと思います。価格が異なるとすれば、どのような機械を使っているか、術前にどれだけの検査をするか、そう言った事に関係しているのではないでしょうか。
クロスリンキングの術式もいくつかあり、特にカスタムクロスリンキングのように、より角膜の形を整えることのできる、最先端のクロスリンキングを行う場合、高額な機器を使う事になりますので、少し高額になってしまう側面があります。

角膜移植を受けるタイミングは?

小島
円錐角膜は重症化すると、ハードコンタクトレンズなどの矯正でも、視力が充分出なくなります。そうなると、運転免許が取れなくなるなど、患者さんの生活に少なからず影響が出ます。コンタクトレンズの種類を色々変えても難しいと判断した場合、角膜移植の適応になると思います。

アレルギー体質、またはアトピーを持っている方でも角膜移植はできますか?

小島
円錐角膜の患者さんで角膜移植を行う場合、アトピーやアレルギーの方は多いです。
しかし、アレルギーだからという理由で手術が出来ない事はありません。ただし、アトピーなどで、重度の結膜炎になっている場合は、まずアトピーなどを治してから、移植に向かう事になります。

角膜移植を行った場合、完治したと考えていいですか?

小島
角膜移植について詳しくお話ししますと、角膜は約11mm〜12mmの直径で、移植するのは中心から約8mmの径です。つまり、外側の部分は自分の角膜が残ります。最も角膜が尖って変形している場所は、移植でかなり正常になりますが、自分の角膜も残っていますので、稀に残った部分から円錐角膜が再発するという事もあります。
そのため、角膜移植をしても、術後は定期的な経過観察、治療が必要になる事もあります。

円錐角膜の治療は、すべて保険適用ですか?

小島
円錐角膜の治療は、まだ保険適用が追いついていないのが現状です。
現在、有効な治療であり、世界各国で標準治療になりつつある、角膜クロスリンキングもまだ保険適用になっていません。
また、円錐角膜用のコンタクトレンズの費用も保険適用になっていませんので、それぞれ実費が必要になります。
円錐角膜の治療法は?円錐角膜の治療法は?

円錐角膜治療に関して、小島先生の今後の目標を教えてください。

小島
私には円錐角膜治療の目標がふたつあります。
まずひとつは、進行をゼロにするということです。円錐角膜が進行すると、日常生活が制限され、患者さんは不自由な思いをしますので、円錐角膜を見つけた時点で止めること。まずそれが第一です。
ふたつ目は、快適に視力矯正をしていただくということです。ある程度進行した状態で円錐角膜が見つかった場合は、コンタクトレンズによる視力矯正が必要になってきます。中にはコンタクトレンズが合わず毎日痛いのを我慢して視力矯正する患者さんもいますので、出来る限り快適に矯正できるようにコンタクトレンズの選定などを考えたいですね。
進行ゼロと快適な視力矯正、という2点が円錐角膜治療における私の目標です。

中京グループの医療機関

円錐角膜治療が受けられる医療機関

眼科専門医 小島 隆司
眼科専門医
小島 隆司
円錐角膜は、進行予防治療も視力の矯正に関しても、最近目覚ましい進歩があります。これまで治療が難しいとされていた状態も、現在は改善できることも多くなっています。
進行ゼロと快適な視力矯正を目標にスタッフ一同頑張っていますので、円錐角膜の診断や進行予防治療ご希望の方や、視力矯正でお困りの方はお気軽にご相談ください。

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