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【角膜・眼表面】角膜移植

角膜・眼表面
角膜移植

澤木 綾子澤木 綾子

角膜・眼表面
角膜移植

眼科専門医澤木 綾子

JCHO中京病院 眼科

角膜とは

角膜は眼球の最も外側にある組織です。「黒目」と言われることもありますが、健康な角膜は透明な組織で、奥にある虹彩や瞳孔などの組織が透けるので黒く見えます。
角膜は1枚の膜ではなく上皮、ボウマン膜、実質、デスメ膜、内皮の5層から成り立っています。角膜上皮は、角膜の最外層にあり、外からの異物が目に入るのを防ぐバリアの働きを持っています。コラーゲン線維でできている角膜実質は、角膜全体の厚みの90%を占めています。アーチ状をした角膜の形を保ち、またレンズとしての役割も担っています。角膜内皮は一番内側にある層で、角膜全体の水分量の調整をすることで、透明性を維持する働きをします。
また、結膜(白目)や角膜輪部(黒目と白目の境界部分)も良好な角膜の状態を維持するために重要な組織です。

どんな病気で角膜移植が必要になるの?

角膜移植が必要になる病気は多くあります。
角膜の混濁
角膜が濁り、光が通りにくい状態。
[原因]
・角膜炎(細菌、真菌、角膜ヘルペス、アカントアメーバなど)
・角膜外傷
・熱傷・化学外傷
・角膜変性症など

角膜のむくみ(水疱性角膜症)
角膜内皮の働きが不十分になり、角膜に水が溜まった状態。角膜浮腫とも言います。
[原因]
・加齢
・眼科手術 ・虹彩へのレーザー治療
・遺伝性の角膜の病気
・角膜内皮の炎症(内皮型角膜ヘルペス、サイトメガロウイルス角膜内皮炎など)
・以前移植した角膜の働きの低下など

角膜の不正乱視
角膜がいびつな形になり、光がうまく網膜に集まらない状態。
[原因]
・円錐角膜 ・角膜炎 ・角膜のケガなど

これらの病気は、程度が軽く見え方に影響がなければ、角膜移植の必要はありません。程度が強く点眼などの薬物治療で改善しない、手術以外の方法では見え方が改善しない場合にのみ、角膜移植の対象になります。

角膜の治療について

角膜移植の種類
角膜移植は治療的角膜移植と光学的角膜移植に分けられます。

①治療的角膜移植
眼球の形の維持したり、病変部の取り除くことを目的とした角膜移植です。
角膜に穴が開いて(角膜穿孔)眼球の形を保てない場合や、角結膜の腫瘍を切除する場合、細菌や真菌などが角膜に感染(角膜潰瘍)して、点眼薬や点滴治療に反応せず、穿孔や眼内への感染の広がりが危惧される場合に行います。
一般的に緊急・準緊急での手術が必要な病気が多いです。視力をしっかり出すためには、次に説明する光学的角膜移植が必要になることが多いです。
②光学的角膜移植
見え方の改善を目的とした角膜移植です。
角膜の混濁、むくみ(水疱性角膜症)、歪み(不正乱視)の改善を目的とした角膜移植です。

角膜移植の手術方法はいくつかあります。
角膜の中心部分を丸く切り抜いて入れ替える手術方法を、全層角膜移植といいます。100年ほど前に始まった方法ですが、今でも行われ続けている効果の高い治療法です。
現在は手術の進歩により、角膜の中でも病気の部分のみを移植するパーツ移植という方法も多く行われるようになりました。パーツ移植の中で頻度の高い手術方法には、角膜の外側を入れ替える深層層状角膜移植、角膜の内側を入れ替える角膜内皮移植、角膜周辺部のみを移植する輪部移植などがあります。これらの手術方法は全て当グループで行っています。
また、冷凍保存しておいた角膜を利用して緊急手術などに使用する保存角膜移植や、母体の中で赤ちゃんを包んでいた組織(羊膜)を使用した羊膜移植を併用する場合もあります。
角膜移植の種類は現在も増えています。内側の非常に薄い層のみを移植するDSAEK、DMEKという方法や、反対側の目から自身の細胞を採取・培養して行う自家培養角膜上皮細胞シートの移植なども行います。
角膜移植の種類
角膜移植って安全?
角膜移植に限らず、どんな手術でも合併症は起こることがあります。角膜移植は他の臓器移植と比べると成功率の高い手術ですが、残念ながらどの角膜移植の手術方法を選択しても100%の成功率には至りません。
当グループの一施設(中京眼科)で導入している術中光干渉断層計は、今までは外来検査室でしか確認できなかった角膜断層像を、手術中にリアルタイムで確認できるようにした機械です。この機械を使用することで、より精細な手術が可能になりました。

角膜移植って安全?
予想される合併症としては、他の臓器移植でも起こりうる拒絶反応のほか、感染や出血、眼圧の上昇、角膜上皮の再生不良、創部の離開(目をぶつけることなどにより傷口が開くこと)、角膜内皮機能不全(移植した角膜内皮の働きが不十分になり角膜にむくみが生じること)原因となった病気の悪化・再発などがあります。
深層層状角膜移植と角膜内皮移植は拒絶反応が起きにくい、角膜内皮移植は手術後の不正乱視が少ない、など合併症の内容や頻度は術式によって異なります。また、原因となった病気やその程度によっても移植が必要な部位が異なり、手術方法も変わってきます。当グループでは患者さんの病状と、術式による長所と短所を検討したうえで、ひとりひとりに合わせた手術の方法を決定しています。
また、手術後の合併症を予防し、万が一の場合は早期発見・早期治療をするためには、移植後は集中的な治療が大切です。状態が安定するまでは頻回の通院や点眼、内服が必要になります。
日帰り手術はできますか?
手術する目の反対側が良く見えている方、短い間隔で何度も病院に通うことができる方、などの条件をみたす方は日帰り手術が可能です。手術後の安静が必要な方、合併症の危険性が比較的高い方などは入院での手術をお勧めしています。
当グループでは入院手術施設・日帰り手術施設の両方を備えています。患者さんの希望に応じて日帰り手術施設に紹介したり、病気の状態や手術の方法を考慮して入院手術施設に紹介したりといった施設間の連携も行っています。
角膜はどこから手に入れますか?
生前から角膜を提供する意思を示されていた方、もしくはご遺族から提供の申し出をなされた方から提供していただきます。眼科医が病院または自宅で眼球を摘出し、各地のアイバンクを通じて角膜移植を行う施設に搬送され、手術が行われます。手術の前には、角膜移植に適した状態であるか感染症はないかといった検査を行っています。
現在、国内で移植を待っている患者さん(レシピエント)の数は、角膜を提供する人(ドナー)の数を大きく上回っており、手術を希望されてもなかなか手術ができないという問題があります。当グループでは国内のアイバンクからの提供角膜だけでなく、米国のアイバンクの協力も得て角膜を入手しています。
国内に54のアイバンクがあり、ドナーとレシピエントとの架け橋の役割を果たしています。ご興味を持たれた方は、一度各地のアイバンクのホームページなどをご覧いただけたら嬉しいです。

中京グループの医療機関

角膜移植が受けられる医療機関

  • 【日帰り手術対応】中京眼科

    MAP

    〒456-0032

    愛知県名古屋市熱田区三本松町12-22

    TEL:052-883-1543

  • 【入院手術対応】岐阜赤十字病院 眼科

    MAP

    〒502-8511

    岐阜県岐阜市岩倉町3-36

    TEL:058-231-2266

  • 【日帰り手術対応】佐藤裕也眼科医院

    MAP

    〒980-0022

    宮城県仙台市青葉区五橋1-6-23
    五橋メディカルセンタービル内

    TEL:022-227-6752

  • 【入院手術対応】JCHO中京病院 眼科

    MAP

    〒457-8510

    愛知県名古屋市南区三条1-1-10

    TEL: 052-691-7151

眼科専門医 澤木 綾子
眼科専門医
澤木 綾子
角膜移植が必要な方は、それまでの経過や現在の状態などの個人差がとても大きいです。
そのため、お一人おひとりに最適な手術方法を提案することを心がけて、日々の診療を行っています。
手術を迷われている方も一度上記施設でご相談ください。専門医が詳しく説明いたします。

中京眼科

〒456-0032

愛知県名古屋市熱田区三本松町12-22

TEL:052-883-1543

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岐阜赤十字病院 眼科

〒502-8511

岐阜県岐阜市岩倉町3-36

TEL:058-231-2266

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佐藤裕也眼科医院

〒980-0022

宮城県仙台市青葉区五橋1-6-23
五橋メディカルセンタービル内

TEL:022-227-6752

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