中京グループの専門医が監修した、
さまざまな眼疾患の一般知識を
調べることができます。
関連記事コーナーには、各眼疾患についての有益な情報を随時更新します。
“ものもらい”とは医学的には“麦粒腫(ばくりゅうしゅ)”と呼ばれ、眼瞼(まぶた)に炎症や化膿を引き起こす病気の代表です。原因菌の大部分はブドウ球菌と呼ばれる皮膚にも存在する細菌ですがまぶたにキズができたり毛穴がつまったりすると感染をおこします。
感染の場所によって次の2つに分けられます。
・外麦粒腫:まつげの根元の毛包、脂腺、汗腺の細菌感染
・内麦粒腫:まぶたの内側にあるマイボーム腺の細菌感染
初めは局所的な痛みを伴うまぶたの赤み、腫れがあり、その部分を押さえると痛みがあります。ときに目やに、流涙、結膜浮腫(白目がぶよぶよになること)を伴います。
経過とともに病巣は限局して、中に膿をともなう黄色い病巣(膿点と呼ばれます)が現われ、外麦粒腫は皮膚面に膿点が出現し発症から5~7日で自然に排膿することが多く、内麦粒腫の多くはまぶたの内側に膿点をつくり腫れや痛みが外麦粒腫よりも強い傾向があります。
細菌による感染症であるため抗菌薬による治療が原則となります。外麦粒腫は抗菌薬の軟膏、内麦粒腫には抗菌薬点眼剤が基本ですが、赤み・腫れ・痛みが強く炎症の程度が大きいと思われるときには抗菌薬の内服も併用します。
原因菌に感受性のある抗菌薬の投与により数日のうちに後遺症なく治癒します。
膿をもった黄色い病巣(膿点)が出現したら早期に注射針による穿刺やメスによる切開にて排膿します。炎症の主体である細菌などを排除することにより局所の炎症を急速にしずめることができるからです。
粒腫の原因の大部分は健康な人の皮膚にも存在するブドウ球菌であることから、予防としては外出したら手をよく洗うこと、まぶたをつよくこすったりしないことが大切です。
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目を開くためのまぶたを持ち挙げる筋肉(眼瞼挙筋)が、働きにくくなり、まぶたが下がっている状態です。
多くは、加齢によりこの筋肉の付着部が緩むために起こります。まぶたを持ち挙げるゴムひもが緩んだら、とイメージしてください。
加齢のほかに、白内障などの眼の手術後や、コンタクトレンズを長く使っていた後などでも起こります。
目を開くためのまぶたを持ち挙げる筋肉(眼瞼挙筋)が、働きにくくなり、まぶたが下がっている状態です。
多くの場合は手術で治すことができますが、まぶた以外に眼球に問題があることも考えられますので、まずは眼科にかかりどのような治療がよいか相談してください。
手術は、この緩んだ筋肉を縫い縮めたり、緩んだ付着部を元の位置に縫い直したりすることで、まぶたを持ち挙げやすくするものです。手術後は、「視野が広がり明るくなった。」「顎を上げずに物を見ることができるようになった。」など、物を見るのに努力を要さなくなったことを喜ばれる方が多いようです。
眼球そのものに問題がなくても、まぶたが下がっていて物が見にくいこともありますし、眼底出血などのために上の方が見にくい状態である方の場合には、眼瞼下垂の手術を受け、まぶたをもちあげても見にくさが解決されるとは限りません。
眼瞼挙筋が働きにくくなっている原因が、神経の麻痺や筋肉そのものの特殊な病気であったり、目を閉じる筋肉の痙攣であったりする事もありますので、まずは眼科総合的な診察を受け、相談してみると良いでしょう。
眼のまわりの筋肉が,自分の意志とは関係なく痙攣してしまう病気です。
眼の周りには眼輪筋といって、まぶたを開けたり閉じたり、瞬きをしたりする時に使う筋肉があります。眼瞼痙攣とは、この筋肉が自分の意志とは関係なく動いてしまう病気で,中高年の女性によく起こります。
はっきりした原因は現在のところ不明ですが、これらの多くはドライアイを併発しています。初めは下まぶたがぴくぴくすることから始まりますが、次第に上まぶたに移行します。その後、刺激感や不快感とともに、まばたきが多くなってきます。
さらにまぶしさや精神的な疲労などにより悪化し,もっとひどくなるとまぶたを強く閉じるようになり,日常生活に支障をきたすようになります。
これら症状の進行は比較的ゆっくりしていますが,そのまま放置しても自然に治ることはまずありません。
心身の安静、サングラスの装用や人工涙液などの点眼によりある程度症状は軽くなりますが、根本的には改善しません。
また、対症療法として,筋弛緩剤や抗不安薬を内服したり、顔面神経ブロックを行ったり、まぶたの筋肉や神経を部分に切除したり、脳外科的な手術などが行われていますが、効果が不安定であったり、副作用などのためにあまり行われなくなりました。
そこで近年、眼瞼痙攣に対しボツリヌス毒素による新しい治療が試みられるようになりました。これは痙攣しているまぶたの筋肉に,痙攣を抑える作用をもつボツリヌス毒素を注射する治療法です。ボツリヌス菌は一般的には食中毒の原因として知られていますが、この菌より発生する毒素は、神経を麻痺することにより持続的に筋肉を弛緩させる作用を持ち、これによりさまざまな中毒症状を引き起こします。
しかし、長年の研究の結果,この毒素を少量だけ抽出し,痙攣している筋肉に直接注射することで,その筋肉がゆるみ痙攣がおさまるという作用を利用できるようになりました(ボトックスTM)。
本薬剤は1989年に米国で承認され、日本においても1996年に眼瞼痙攣の治療薬剤として、2000年には片側顔面痙攣の治療薬剤として承認されております。ただし、現在は講習と実技セミナーを受講した医師のみに使用が許されています。
治療としては、痙攣をおこしている眼輪筋に4~6カ所ごく少量注射するだけで、5分程度で処置は終了します。
その効果は2~3日後より現れ、通常3~4カ月持続します。効果が減弱し、眼瞼痙攣の症状が再び出てきたら再投与します。
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逆まつげのなかには、まつげの生えている方向は一定でもまぶた全体が内側へ湾曲しているために、眼球表面にまつげがあたる「内反症」と、まつげの生えている方向がまちまちで内側へ向かって生えているまつげが眼球表面にあたる「睫毛乱生」とがあります。
これら2つが合併することも少なくありません。
まぶた全体が内側へ湾曲している「内反症」の場合、まつげを抜いてしまうと、次に生えてくるまつげが短いうちから眼球表面にあたってしまい、数日おきに抜かなければならないという羽目になります。
この場合は、手術でまぶた全体を少し外側へ向けてやると楽に過ごせるようになります。
逆まつげのために、「ゴロゴロする」「痛い」という症状が強かったり、角膜障害(黒目のキズ)があったりする時は、積極的な治療の対象となります。手術によりかなり楽に過ごせるようになります。
まつげが生えている方向がまちまちである「睫毛乱生」の場合は、まずは内側へむいているまつげだけを抜く方法を選びますが、しばらくするとまた生えて来ます。
次の逆まつげが生えてこないようにする方法として、レーザーや電気による熱凝固で毛根の細胞を焼く方法がありますが、熱が周囲へも伝わり、よい方向で生えていたまつげの方向を変えてしまう可能性もあります。
手術は、逆まつげの生え方や場所、皮膚のゆとり、年齢などにより、いろいろな方法が、考えられます。
もっとも、代表的なものは、先の内反症に対する手術と同様のものです。
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※各眼疾患の症状には個人差があり、治療方法も様々です。目に異常を感じたら、必ず眼科を受診し、医師の診断・指導のもと、治療を行ってください。