中京グループの専門医が監修した、
さまざまな眼疾患の一般知識を
調べることができます。
関連記事コーナーには、各眼疾患についての有益な情報を随時更新します。
人間の眼はよくカメラに例えられますが、カメラのレンズにあたる部分は水晶体と呼ばれます。
水晶体は眼の前のほう、虹彩(茶目)のすぐ裏にあって、凸レンズの形をしており、光を曲げてピントを合わせ、物をはっきり見ることに関係しています。
この水晶体は主にタンパク質と水からなる細胞で出来ており、常に水晶体の外側(水晶体皮質)で新しい細胞が作られ、古い細胞がしぼんで内側(水晶体核)に蓄積されると言った新陳代謝が行われています。
このため年々、老廃物がたまっていくことになり、水晶体は若いうちは透明ですが、年齢とともに徐々に変性し、濁ってきます。
この水晶体の濁りが白内障で、光が眼の奥に入っていくのを邪魔するため、カメラのレンズが汚れていてはきれいな写真が撮れないのと同様に、見にくさの原因になります。
眼のかすみ、ぼやけ、まぶしさ、疲れ眼、近眼、老眼などが起こります。
濁った部分によって、光が水晶体を通過して眼の奥に届くのが妨げられるため、かすみ等の視力低下を感じることがあります。
また、中央部分が主に濁っているタイプでは、明るいところで黒目が小さくなる(縮瞳する)と見づらく、薄暗いところで黒目が大きくなる(散瞳する)と逆に見やすいと言った現象が起こることもあります。
一般に水晶体は年齢と共に濁りが強くなり、厚みが増して凸レンズの度が強くなり、より硬くなることから、近視や老眼が白内障と同時に進むことも少なくありません。
ただし、これらのような症状があるからと言って、必ずしも白内障とは限りません。同じ様な症状が網膜剥離などの、放っておくとやや急激に悪くなる病気の初期症状であることもあるため、他に異常がないかどうか、まずは受診することをおすすめします。
一般的な白内障すなわち老人性白内障は、一種の老化現象と言うことができ、老化を防ぐ薬がないのと同様に白内障を目薬で完全に防ぐことは出来ません。
現在ある白内障の目薬はどれも、若干進行を遅くする場合はあっても進行を完全に止めるものではなく、もちろん一度進んでしまった白内障を治す効果もありません。
したがって白内障を根本的に治すには、手術治療しかありません。
白内障は、数ヶ月、数年といった時間をかけて徐々に進行するもので、一般には白内障の診断を受けたからと言って、すぐに手術を受けなくてはいけないと言うことはありません。
ただし、あまり進行してしまうと、後述のように痛みがなく、短時間で済み、日帰りが可能な手術が出来なくなる場合があります。
また、白内障が進むと水晶体の厚みが増し、そのせいで急性緑内障発作を起こしたり、その危険性が高くなる場合があります。そう言った点からも、むやみに手術を先延ばしたりせずに、適切な時期に手術を受ける必要があります。
一般的な経過としては、前述のような異常(初期症状)を感じたら早めに眼科を受診し、検査・診察を経て他の異常がないか確認して白内障の診断を受けます。そこで、白内障のすすみ具合を見たり、他の異常が起きてこないか見るために定期的な受診を開始し、必要に応じて目薬を用います。そして前述のように、目薬をしていても徐々に白内障は進行するため、時期を見て手術に踏み切ることになります。
手術の時期は、患者さまの職業や見え方に対する要求などによって異なり、個人差が大きくありますが、一般的には自動車運転免許の更新に必要な矯正視力0.7を割って来たら、そろそろ手術を考えると言うことが多いようです。
特殊な場合を除けば、何が何でも今すぐ手術と言った状況は白内障では少なく、手術に適した時期を医師が伝え、患者さま本人がその必要を感じて、手術の決心が着いた時が手術をする時、と言うことが出来ます。
また、手術前後の通院・入院に際しては家族の協力も必要なため、家族の理解・同意も欠かせません。
先天色覚異常は、女性では約0.2%(保因者は約10%)、男性では約5%と圧倒的に男性に多く認められます。これは性染色体劣性遺伝の形式を取るからです。
網膜には色を感じる3つの種類の細胞(赤錐体、緑錐体、青錐体)がありますが、それぞれの異常により、第一異常、第二異常、第三異常に分類されます。(第三異常は非常にまれで、数万人に1人程度であり、ここでは省略します。)第一異常、第二異常は、見え方の違いは大きな差はないのでまとめて赤緑異常と言います。
学校の1クラスに男子が20人いるとしますと、クラスに1人程いる計算になります。
「色覚異常の人は、色が分からないので白と黒しか見えない世界に住んでいる」と思われている方がいらっしゃいますが、全くの誤解です。
判別しずらい色(緑と茶色など)がありますが、注意深く判断すれば間違えることは少なくすることが可能だと思われます。
瞬時に判断を求められるときや注意力が欠けているとき、また、薄暗い場所では色を誤認する可能性が高まりますので注意が必要です。
インターネットで「色覚異常」と検索するとたくさんのホームページが出てきますが、中には、「色覚異常が治る」とか、「特殊な眼鏡をかければ正常に見える」と謳って色覚異常を商売にしている人たちがいますが、残念ながら現在のところ治療法はありません。
職業選択、遺伝相談など知りたい事がありましたら、色覚異常の家族を持った人たちで作った「ぱすてる(http://www.pastel.gr.jp/)」と言う会が制作しているホームページがあります。
また、色覚を専門としている医師で作られた「視覚研究所(http://www.shikikaku.jp/)」にアクセスしてください。
現在では、色覚異常に対する誤解も徐々に少なくなり、社会的にも入学制限、採用試験などの制限が撤廃されつつあります。この様に制限の撤廃は歓迎すべきことですが、これは言い換えれば自分がどの程度の色覚異常であるのか、自覚をしないまま色を扱う職に就いたとき、大変困ることになります。
言い換えれば、何か問題が起こった場合自分で責任を負わなくてはならないことに他なりません。よって、自分がどの程度色の認識が出来ているのか、出来ていないのか知っておくことが望まれます。
※各眼疾患の症状には個人差があり、治療方法も様々です。目に異常を感じたら、必ず眼科を受診し、医師の診断・指導のもと、治療を行ってください。