白内障を見分けるポイントや検査についてを解説。

白内障事典
「見える扉」を開くために。

歳を重ねるにつれ、発症率が高くなる
白内障は、身近な眼疾患と言えます。
白内障事典は、約80,000件もの白内障手術の
実績を持つ専門医が、
白内障と
その治療法について解説します。
白内障で悩んでいる方の
「見える扉」を開くために。

検査

白内障を早期発見するためのセルフチェック

白内障の典型的な症状である、視界全体にモヤがかかったり、急に近視になったりしたら要注意なのは言うまでもなく、そこまで症状が進む前に、次の「白内障セルフチェック」で、確認してみてください。ひとつでも該当するものがあった場合、なるべく早く眼科を受診することをお勧めします。

  • 【1】 物がぼやけて見える。またはかすんで見える。
  • 【2】 物が二重、三重に見える。
  • 【3】 視力が急に低下した。
  • 【4】 近視が急に進んで、メガネやコンタクトレンズの度を何度も変えている。
  • 【5】 光がまぶしく感じられる。
  • 【6】 暗いところで以前より物が見えにくくなった。
  • 【7】 老眼鏡をかけてもよく見えない。
  • 【8】 老眼が治って、以前よりよく物が見るような気がする。

白内障を見分けるポイント

●近視が急速に進んだら要注意

加齢によって物が見えにくくなる症状は、老眼と間違われやすく、白内障を見分ける際にポイントとなることがいくつかあります。
まず、物がぼやけたりかすんだりして、視界全体の見え方に支障が出ること。老眼のようにピントが合わないわけではなく、見える物全体にモヤがかかったように見えるのが白内障です。見えにくく感じたときに、老眼鏡をかけて矯正できるかチェックしてみることも大切です。
白内障の中でも、水晶体の中心にある核が濁る「核白内障」の症状で、近視が進んだ状態になることがあります。その場合、メガネやコンタクトレンズの度数を上げると見え方が改善されるので、頻繁にメガネやコンタクトレンズを替えるだけで白内障と気づかず、発見が遅れるケースがあります。中高年になってから近視が急に進んだ場合は、要注意です。

 

●光の感じ方が変わったら要注意

白内障を発症すると、光を敏感に感じることがあります。昼間、日差しの下で光が反射し、人の顔などが見えづらくなったり、夜間、クルマのヘッドライトや照明がまぶしくて、暗いところがよく見えなくなったりします。光の感じ方が以前と変わったと感じられたら、白内障を疑ってみてください。
また、白内障が進んで、水晶体の核の色が褐色になると、色の感じ方が変わってしまうことがあります。視界の物全体が茶色っぽく感じられ、物が汚れて見える場合もあります。色に対する感覚が他の人と違うように思ったら、なるべく早く眼科を受診してください。

白内障の検査

白内障の検査は、大きく分けると、白内障自体を診断するための検査と、白内障の手術を行うと決まった後に行われる手術前検査があります。
また、手術前検査は、手術で摘出する水晶体の代わりとなる「眼内レンズ」の度数を決めるための検査と、手術後の合併症を考慮した検査に大別されます。視力低下の原因が白内障か、手術が問題なく行えるか、手術後ピントが合う距離は、日常生活をおくる上でどこに合わせれば快適か。など、どれも重要な検査です。

 

一般的に、手術による治療では、手術の成否が注目されますが、白内障手術の場合、手術を成功に導くための手術前検査が非常に大きな役割を担っています。

 

●最新鋭の機器による白内障の検査

白内障の検査の中でも最も基本的で重要な検査は、細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査です。難しい名前ですが、眼科を受診した経験のある方なら、一度は受けたことがある検査ではないでしょうか。
小さなプレートに「あごを乗せてください」と言われ、対面側から医師が顕微鏡のようなレンズを覗いて診る検査です。眼球の奥や断面まで診察できるため、白内障の正確な診断だけでなく、手術の進め方や、手術後の視力回復の程度までしっかり把握することができます。
しかし、白内障による水晶体の濁りが進行していると、細隙灯顕微鏡検査だけでは眼底の異常を見つけることはできません。そのような場合、網膜電図検査(ERG)や超音波エコー検査で眼底の状態を調べることもあります。
また、近年では、光干渉断層計(OCT)と言う、網膜の断層を観察できる画期的な検査も行われるようになり、これまで早期発見が難しかったさまざまな眼底の異常が発見できるようになりました。

 

細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査

光干渉断層計(OCT)

白内障の治療

検査によって白内障と診断されても、視力や物の見え方にそれほど問題がない場合、多数の医療機関では、「ピレノキシン」や「グルタチオン」などの点眼薬が処方され、経過観察となります。
ピレノキシンは、水晶体のタンパク質が変性するのを抑える働きがあり、初期の白内障の進行を遅らせる効果があります。また、グルタチオンは、白内障の進行によって減少していく、水晶体に多く含まれるアミノ酸を補う効果があり、白内障の進行を遅らせます。

こうした点眼治療を長く行っている場合、「医師から処方された目薬を差しているのに、白内障が治らない」と、不満を持たれるかもしれませんが、残念ながら、点眼薬では白内障の進行を遅らせることはできても、白内障を治すことはできません。現在の医療では、いったん発症してしまった白内障は、点眼薬でも内服薬でも治すことは不可能なのです。白内障の根本的な治療には、手術が最善の方法となります。
点眼薬と定期検診で白内障の進行を遅らせても、視力は徐々に落ちていき、生活は不自由になります。そんな不便な視力で日々を過ごすより、できる限り早い段階で手術を受けてしまったほうが、その後に得られる生活が快適になることは確実です。

手術が決まってからの検査

白内障の手術は、全身麻酔ではなく、目の局所麻酔で行うことから、身体への負担が小さく、全身に及ぼす影響はほとんどありません。しかし、高血圧や糖尿病、心疾患やアレルギーなどの持病がある場合には、万が一に備え、さまざまな準備をする必要があります。そのために行う検査が、「手術前検査」です。

 

●角膜内皮細胞検査

手術前検査は、全身の検査と同時に、角膜内皮細胞の検査が行われます。
角膜内皮細胞とは、角膜の内側を覆っている細胞のことですが、この細胞が減少すると、角膜が濁って視力が出なくなってしまいます。角膜内皮細胞は、いったん減少すると再生することはなく、極端に減少している場合、角膜移植が必要となります。
角膜内皮細胞は、白内障手術によっても減少するため、手術前の細胞数があまりにも少ない場合は、手術後の視力回復が見込めない可能性もあります。このため、白内障手術の前には必ず角膜内皮細胞を検査する必要があるのです。

 

●眼内レンズの度数を決める

手術前検査で特に問題がなければ、眼内レンズの度数を決めます。
濁った水晶体の代わりに目の中に挿入するレンズが眼内レンズです。眼内レンズには、メガネやコンタクトレンズと同様さまざまな度数があり、手術を受けられる方の生活環境や目的に合った度数を選択する必要があります。手術後、どの程度の視力が必要か、手術前に医師に希望を伝え、よく話し合って決めてください。

白内障事典 監修
医学博士

市川 一夫

医療法人いさな会 中京眼科 視覚研究所 所長
独立行政法人 地域医療機能推進機構 中京病院 眼科 顧問

医学博士 市川一夫

1978年、愛知医科大学医学部医学科卒業。
1983年、名古屋大学大学院医学研究科博士課程(外科系眼科学専攻)修了。
社会保険中京病院眼科医長を経て、1986年、同院眼科主任部長に就任。
眼科医療では、一般的に年間200〜300件の白内障手術を行う医師の中、年間3,000件以上の白内障手術を執刀し、生涯執刀数は80,000件を超える。

また、1994年、社会保険中京病院眼科を中核とした、病院・クリニックグループを支援する、株式会社中京メディカルを設立。眼科専門医の指導、育成にも尽力し、年間約14,000件の手術指揮を行う。
さらに、国際医療支援活動にも積極的に取り組み、毎月海外で白内障手術を執刀。
現在、名古屋大学医学部臨床講師、北里大学医学部眼科非常勤講師、大連医科大学客員教授も務める。

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